『性春の衝動』
著:なゆ
編集:STUDIO SAIX
「ふぅ〜」Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
俺はにらめっこしていたノートから顔を上げ大きく体を伸ばす。
結構集中していたのか、外は既に茜色に染まっている。窓から射し込んでくる西日が眩しい。
「孝志君、終わったの?」
向かいに座っていた菜々ちゃんが読んでいた文庫本から顔を上げる。
「うん、キリのいいとこまで終わったから……」
と、そう言いながら腕時計で時間を確かめる。外は茜色になっているが、それほど遅くはないようだ。時季が時季だけに日没も早い。
図書館にはもう他に誰もいないようだ。少なくとも見回した限りは。
「ごめんね、待たせちゃって……」
菜々ちゃんに謝る。
「謝らなくってもいいよ。あたしが勝手に待ってただけだから」
サラリとした髪が光に反射してとても綺麗だ。
学園のプリンセスといわれているという事を改めて思い知らされる。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
そう言って、菜々ちゃんが文庫本を閉じる。
本当に可愛いと思う。Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
そんな子が彼女だなんて、時々夢かと思ってしまう。告白してきたのは菜々ちゃんからで……全部夢だと言われても信用できそうだ。
だけど、これは現実なんだよな……。
信じられなくても現実で、俺は菜々ちゃんの彼氏なんだ……。
「どうしたの? …………ねぇ」
ぼぅっとしていたに違いない。なんだかお間抜けだ。
「いや、別になんでもないよ。……ちょっと、夕陽が綺麗だなと思って」
窓の外に目をやる。
それにつられるように菜々ちゃんも窓の外を見る。
「ホントだ……綺麗…………」
優しい表情で夕陽を見つめる。
そのうっとりとした表情は少し儚げだった。もっとも、それが彼女の人気なのかも知れない。
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俺たちはそれぞれ荷物をカバンに入れ席を立つ。
誰もいない図書館はいつもとは違う顔をしている。
さて、帰ろうか……と菜々ちゃんに歩み寄った時――
「あっ…………」
椅子に躓いて……そして、そのまま菜々ちゃんに向かって倒れていく。
「えっ……あっ…………」
………………。
その動きを止める事ができず、菜々ちゃんを押し倒してしまう。
「…………っ」
机に押しつけられた菜々ちゃんの口から小さな呻きが聞こえた。
「…………ったぁ〜」
目を開く。
「………………っ」
と、目の前には菜々ちゃんの顔があった。
「………………」
こんな至近距離に菜々ちゃんがいる。それだけでもドキドキするのに、夕陽が演出しているのか、いつもよりドキドキする。
目と目が合う距離。
「………………」
もう少し近付けば触れる事が出来る距離。
「………………」
無言の緊張感が支配する。
「………………」
菜々ちゃんは無言で目を閉じた。
ゴクリと喉が鳴るのがわかる。
ゆっくりと顔を近づけていく。
ちゅっ…………と、わずかに触れるだけですぐに離す。
だけど、すぐにまた近づける。
今度は前よりも長く。ゆっくりと。触れあうだけの口づけ。
もう一度離し、またすぐに近づける。
今度は唇に吸い付くように、貪るように。
時には舌を絡めるようなフレンチキス。
ねちゃねちゃという音が誰もいない図書館に響く。
広い密室に二人きり。二人だけの世界。二人だけの音。二人だけの色。二人だけの……。
飢えた獣のようにお互いの唇を貪る。
なにも考えられない。ただ、こうしている他には。
一心不乱に……そう、莫迦の一つ憶えのように繰り返す。
永遠とも思える時間堪能した唇を、少し下に移動させていく。
「……あっ…………ん」
顎を移動し首筋に移動した時、菜々ちゃんの口から声が洩れた。
「……ん……はぁっ…………」
キスマークだけはつけないようにしながらも、首筋になんども口づけをする。
手で髪を梳りながら何度も口づけをする。
それだけで我慢できるはずもなく……制服のボタンに手を掛けて菜々ちゃんのブレザーのボタンを外し前をはだけさせる。その下のブラウスも同じようにはだけさせる。
そこに現れたのは、白いレースで縁取られた下着だった。
優しく手を乗せる。
そして、少しだけ力を入れる。
「はぁうん…………」
声を殺そうとしているのがわかる。誰もいないとはわかっていても、やっぱりこういう場所で……というのは気になってしまう。
だけど、だからやめようなんて思えない。
一度付いてしまった火は消えない。
ゆっくりと、下着の上から胸を揉む。
「はぁっ…………くぅん…………んんっ…………」
首筋を責めていた口づけを徐々に下に移動させていく。
鎖骨を通過し、さらに下に……。今は下着に覆われている手前に到達する。
「外すね」Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
確認するように訊く。
コクンという頷きで返される。
緊張した手つきで下着を外す。
初めてというわけではないのに緊張する。
下着を外すと白くて綺麗な曲線が露わになる。
その周囲を唇でなぞる。
決して頭頂部に向かう事なく、ただ周囲をなぞる。
制服で手を温めもう一つのふくらみに添え、優しく動かす。
「……ああっ……くっ…………」
声を殺しているのがいじらしくてどこかそそる。
添えていた手に少し力を込める。
「……はぁん! ふぅん…………はぁ…………」
声を抑えきれないのか、少し大きくなる。
唇を頭頂部に向けてゆっくりと移動させていく。
頭頂部を口に含み、下で転がす。
「ああん…………たか……しくん…………」
菜々ちゃんが切なそうに俺を見る。
それを見て、俺は手をさらに下へと移動させていく。それと一緒に、唇も離す事なく移動させていく。
ちゅっ、とおへそに口づけをする。その瞬間、くすぐったそうに身体をよじる。
スカートをたくし上げ、その下にある下着に手を掛ける。
そして……それをずらす。
「…………っ」
スカートがあるので見えないが、その代わりに手で感じる。
だけど、すぐにそこには触れずに、太股をゆっくりと撫でる。
催促をしているのか、くすぐったいのかはわからないが、菜々ちゃんはモゾモゾと足を動かす。
それを受けて、ゆっくりとその場所を目指して移動し始める。
さわさわとした陰毛も少し湿っているように思う。
「濡れてる…………」
何気なく言葉に出る。
「……だって…………」
菜々ちゃんはそれ以上は言葉に出来なかった。
顔を真っ赤にし、目を閉じた。
指を少し曲げ少しだけ動かす。
「……んんっ! …………やんっ!」
恥ずかしくて逃げようとする菜々ちゃんの身体を押さえる。
(もう、いいかな…………)
俺のモノは準備万端になっている。
ファスナーを下ろし外に出す。
菜々ちゃんは目を開けず、ただ待っているように見える。
俺は意を決し菜々ちゃんのそこに俺のモノを宛う。
くちゅっという音と体温が伝わる。
ゆっくりと腰を移動させ、奥に進んでいく。
俺のモノがゆっくりと菜々ちゃんの中に入っていく。
絡みつく襞は温かく、ゼリーに包まれているように感じる。
「……んっ…………っ……」
ゆっくりと進めるのと一緒に菜々ちゃんの声が洩れる。
ゆっくりとゆっくりと時間を掛け、俺のモノが全部挿入った。
そのまま動かずに、口づけを交わす。何度も何度も口づけを交わす。
何度目かの口づけのあと、
「動いていいよ」Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
菜々ちゃんが優しい声で言った。
「わかった」Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
端的に返事をし、俺はゆっくりと腰を動かす。ゆっくりと腰を引き、また進んでいく。
ゆっくりした動きを繰り返す。
挿入れたままでも充分すぎるほど気持ちよかったのに、動くと一気に達してしまいそうになる。
それをなんとか堪え、腰の動きを繰り返す。
「くっ…………」
やばい、もう無理っぽい。
「菜々ちゃん、俺……もう…………」
そろそろ限界だ!
「う、うん…………」
もう気にしなくなったのか、菜々ちゃんは声を殺す事はなかった。
やばい…………。Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
だけど、腰は止まらない……いや、止められない。
力強く最深部まで挿入れる。
「あっ…………はぁっ…………くぅっ…………!」
「うわっ!」Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
我慢の限界だった。決壊したダムのようにそそぎ込まれていく。
勢いは止まらない。
「あっ…………んんっ………………はぁっ!」
菜々ちゃんの身体が痙攣したようになる。
しばらく自然に身を任せていた。というより、動けなかった。
「はぁ……はぁはぁ…………」
「はぁはぁ……はぁはぁ……」
俺たちは繋がったまま荒い息をしていた。
「菜々ちゃん……」
「孝志君……」Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved.
お互いの名前を呼び合う。
そして、ようやく俺はモノを抜く。
白い体液がそれを伝うようにこぼれてくる。
「ご、ごめん…………」
中に出してしまった事を謝る。
菜々ちゃんは冷静に鞄の中からポケットティッシュを取り出し拭く。
それを見ているとすごく申し訳ないと感じる。
「本当にゴメン……。その……いきなり…………こんな所で…………」
そう言われて改めて意識したのか、菜々ちゃんの顔が赤くなる。自分で言って照れ臭くなる。
「そ、そうだよね……ここって図書館だったんだよね…………」
菜々ちゃんは慌てて乱れた服装を正す。
「ホントにゴメン…………」
謝って済むような事じゃないとは思うけど、謝らずにはいられない。
「ううん、あたしも…………」
見つめあった俺たちは、触れあうだけの口づけを交わす。
まあ、勢いってのは若さの特権かな……なんて思ったり。
これも青春の衝動って事で。
あ、性春の衝動かな………………。はぁ〜。
Copyright(C)2005 STUDIO SAIX All Rights Reserved. Fino.
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